活動日記

大阪市:外資系企業誘致

2008年5月26日視察・出張

■視察先:大阪市 
■視察項目:外資系企業の誘致について
■視察日時:2008年5月1日 10:00~12:00
■対応していただいた方:
 大阪市経済局企画部企画誘致 担当課長 川畠康裕さん、
 担当係長 小林隆一さん
 大阪市計画調整局都市プロモーション課長 田中利光さん、
■議会事務局の方:総務担当課長 高村和則さん
■ねらい
大阪市の事例を通じて、横須賀市に援用できるものはないか、検討材料にすること。
支援メニューや職員の体制などについて、特に学びたい。企業誘致にあたって、海外からの企業誘致を進めるように、議会で提案した立場として、さらに横須賀市での誘致活動を実りあるものにしたい。
■視察の状況
大阪市議会において、まず、経済局企画部企画誘致担当課長川畠康裕さんに用意していただいた資料に基づき、企業誘致の概要について説明いただいた後、外資系企業誘致のための施策をまとめてご説明いただいた。
その後、および大阪市計画調整局都市プロモーション課長田中利光さんより、海外向けのトッププロモーション等について、あらためてご説明いただいた。
■事業実施体制
【大阪市】
計画調整局:都市再生プローモーションセンター:都市計画関連支援と海外へのトップセールスの事務
港湾局 臨海地域活性室 :咲洲の埋立土地が対象
経済局 企業誘致担当課 :IBPC大阪をはじめとした全般的な企業誘致事務
海外事務所:シカゴ、パリ、シンガポール、上海
【外郭団体】
・IBPC大阪 企業誘致センター:
 市の出資団体である財団法人大阪国際経済振興センター内の国際部。
  ※IBPC:International Business Promotion Center
  参考URL:http://www.ibpcosaka.or.jp/
・大阪外国企業誘致センター(O-BIC)
 大阪市・大阪府・大阪商工会議所が協力して立ち上げている。
 事務局は大阪商工会議所。費用負担はそれぞれ3分の1。
  ※O-BIC:Osaka BusinessaAnd Investmet Center
  参考URL:http://www.o-bic.net/j/index.html
■事業概要(IBPCによる事業)
・大阪市進出サポートプログラム
「大阪市進出サポートプログラム」は、大阪市内進出に関心を持ち、具体的なビジネスプランを持っている国内外の企業・団体が利用できるサービス。活動サポートとして、在阪企業との商談アレンジや通訳者の手配、商談用資料の翻訳、市内開催の展示・商談会への参加料の補助(上限15万円/1社)などを行っている。他にも情報サポートとして、進出に関する相談の受付・専門家の紹介やテンポラリーオフィスの利用(6か月無料)を行っている。
・重点産業進出助成制度
大阪市に新たに進出する重点産業分野の企業に対し、進出にかかる初期投資を軽減するため『建物賃借料の一部』を最高1000万円まで助成している。重点産業分野を7分野定めていたが、現在国内企業への助成制度は、4分野に限定し始めた。→外資系に特化するように旗色を明らかにさせた。
・コンサルティングサービス
コンサルタントの活用(成功報酬):1社1年間:経常経費として150万円/年間。1社を誘致することでインセンティブとして、1000㎡未満の事業所で100万円。それ以上の広さで300万円を支払っている。
【一定の成果を挙げている理由】
IBPCの職員9名のうち、2名は市役所から出向しているが、7名は財団の職員。この7名は語学も堪能で、一人が一社をずっと対応する。また、海外のエリアを決めて担当している。また、外部委託しているコンサルタントへのインセンティブも効果的である。
【税収および雇用への効果(費用対効果)】
平成19年度に、税収および雇用への効果を、シンクタンクへ調査委託。平成18年度中に、進出のあった42社(外資系22社)を対象に試算。
・効果:
 誘致当初589名の雇用。
 経済効果、波及効果含めて、207億円。
 税収市民税・法人市民税あわせて1億2千万円。
 (※賃料収入なので固定資産税はあまり無い)
・費用:
 平成18年度決算:2億9千万円
 (内訳:IBPCへの委託料約2億3千万円、賃料助成約4600万円など)
■事業概要(都市再生プロモーション)
計画調整局 都市・再生プローモーションセンター
 参考URL:http://www.osaka-saisei.jp/
広報を一元的にワンストップにするトッププロモーションのサポートとして市長から組織案が出た。
【助成制度】
・都市再生重点産業立地促進助成制度
大阪市の定める重点産業分野の育成・振興等を図り、大阪経済の活性化、都市再生に資するため、重点産業分野の事業所を市内に建設して開設する場合に、建設等にかかる経費の一部を助成。対象経費の5%以内(限度額は3億円)。
・咲洲コスモスクエア地区立地促進助成制度
咲洲コスモスクエア地区内の市有地を購入し(助成対象区域は約154ha.)、施設を整備することで、用地取得費の30%以内(限度額は10億円)を補助する。
・外資系企業とのネットワーク
→姉妹都市周年事業としておとずれるとき、プロモーションも行う。(医学部との学術交流。上海の大学の分校をつくった。)
→国際不動産投資見本市への出席
→外国公館との連携
→「大阪フォーリン・ビジネス・ネットワーク・クラブ」(英語)
→「東京ビジネス・リーダーズ・フォーラム」の継続(英語)
■事業実施の経緯や背景
O-BICが設立されたのが平成13年度。このタイミングで調査費を助成しはじめた。
平成14年度で賃料助成を行い始めた。平成15年度でIBPCを設立した。IBPCが設立されて以降は、財団の事業として誘致活動を行っている。
【外資系企業誘致とその他の企業誘致の違い】
工場を誘致する土地があまり無いので、オフィス誘致を方向性としてもっている。オフィス需要は東京が一番多いので、東京から大阪に移してもらいたいが、なかなか難しい。それでは近隣の自治体から誘致すれば、その自治体からの反感もかってしまう。だから、日本に出てこようとしている海外企業を誘致しようとしている。考え方としては、企業誘致としては、外資にせよ国内企業にせよ、大きな違いは少ない。
■課題(担当者からの説明)
・進出企業へのフォローが不十分で、ビジネスマッチングなどで解決したい。
・現在、大阪駅の北ヤードの再開発地域に、集積を行おうとしているが、どういった業種にするかによっては、将来を左右すると考えている。
・大阪発祥の企業(日清食品、武田薬品など)が流出している。中小企業ばかりを対象にするのではなく、大企業も対象にする必要がある。年間に50社ほど、市の職員が主要な企業を周りはじめた。
■所感
大阪市の活動の中で特筆したいのは、IBPCの行う1人1社担当制である。
どうしても市役所人事には異動があり、担当者が変わると、1から信頼関係を積み上げなければいけなくなる(佐賀県では、異動した先でも担当した会社をずっとみる「パーマネント制度」がある)。企業としても、進出して終わりではなく、ビジネスチャンスなどの情報提供を市役所に求めるだろうし、また下請け企業を探す際なども、相談することだろう。そうしたなかで、地道な人間関係を積み上げていくためには、担当者を変えない方策というのは、たいへん有意義である。
別の観点からも言える。それは、情報収集を一元的に行うことの意味である。ストックされていく知識や情報は、古いものと新しいものを組み合わせることで真に活用することができる。人事が変われば、新しく知識を得ることはできても、以前の情報との組み合わせをすることは難しいのではないか。
また、外資系企業の誘致という観点からは、直接の企業活動以外のサポートも有意義であることがわかった。外資系企業が進出するにあたって言葉の問題が壁としてあるだろう。また時刻の制度や商習慣との違いも大きいことが容易に想像できる(登記、労働情勢、社会保障など)。さらに言えば、従業員が海外から日本に来てやる場合は、生活習慣の隔たりもある。そうしたことをサポートしているIBPCのコンサルティングサービスは、魅力的に移るだろう。
■最後に
外資系企業を誘致するには、国内の一般企業を誘致する磐石の態勢が無ければいけないと感じた。また、当たり前のことではあるが、企業誘致には決定打は無い。特に先進的な事例は、すぐに真似されてしまう傾向がある。だから、有効打を積み重ねることと、都市の持つブランドイメージやトータルな福祉サービスの充実などが、必要である。
本市において市長は税収増にばかり目をやっている感があるが、本来は雇用に焦点を当てた支援メニューなどの充実を検討するべきであると、あらためて感じた。

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